世代をつないでいく人の物語
根香寺で出会う、小学生と大学生
四国霊場第82番札所 青峰山 千手院 根来寺
香川県が行う札所寺院調査報告会の一環として
10月20日根来寺で高松市立下笠居小学校の生徒に
香川大学教育学部の学生たちが
四国遍路と根来寺の歴史、境内や周辺地域について見学授業を行いました。
今回は若い世代が繋ぐ、大事にしたい四国遍路のやさしさをご紹介します。
香川大学教育学部 守田逸人 准教授
「今回は、香川大学教育学部の2年生19名が参加しています。
ちょうど新型コロナウイルス世界中で拡大してきてすぐに入学した世代
参加した学生たちは1年半、学生生活をロクにおくれてこなかったのです。」
「香川大学のフィールドワークはこれまで伝統的に行われてきましたが
<お遍路>をテーマにしたものは3回目。
お遍路は日本の文化でも奥が深い文化の一つで
人間の生き方や考え方を知り、人の多様性を発見できる文化なのです。
そういう多様性を持つ文化を将来の学校の先生になる彼らが知ることで、
噛み砕いて子どもたちに伝えていける意味のある活動であると思っています。」
< 社会の先生になりたい >という学生たちが
社会認識を深めて、人間の生き方や考え方の多様性を学ぶ学習の一環という
側面からも楽しんで活動してくれています。
大学2年生・男子学生にきく・・・
「僕は香川県出身ですが、お遍路さんの姿を見て知ってはいても
特別興味があったわけではありません。このフィールドワークに参加するまで
お遍路について知ることも、お寺に行ったこともありませんでした。」
「僕も高松市出身で、今日も「お遍路さん」をお見掛けしてきましたが
僕の中で、これまでお遍路は「見る」ものでした。
自分が関わることによって初めて違う視点が備わったように実感しています。」
「教えるためには、まず自分が知らなければ教えられないので
興味を持って研究し、子どもたちに伝えるための努力をしました。」
「単に説明するだけでなく、子どもたちに分かるように伝えようと意識することは、
教員となっても大事な考え方なので良い機会になったと思います」
四国霊場第82番札所 青峰山 千手院 根来寺 青峰副住職
「今回参加した小学生の中で、これまで根来寺に来たことないお子さんも多く
こういう機会に恵まれて地元の小学生たちに詳しくお寺のことを
知ってもらえたことは大変ありがたかったと思います。」
「今回教育学部の学生さんは将来教師になる彼らがしていることで、
世界遺産の取り組みや、お四国さんの文化を子どもたち伝えてくれることに
期待しています。」
香川県文化振興課 松岡明子さん
「根来寺の調査の報告会は一般向けとして10月23日(土)にあり
今回はそれに関連した小学生の見学授業なのです。
調査した文化振興課の者が説明するのではなく
一つは子ども目線により近い香川大学生が講師になることで
四国遍路や根来寺の情報を大学生目線で発信してくれる機会になります。
更に大学生自身もこれを機会に学ぶことができるので
相乗効果になると思っています。」
「大学生たちが面白いと思うものは、もっと若い世代にも面白いと届きやすいです。」
「子どもたちも大学生も時間を追うごとに関係ができていって
やさしさが繋がった気がします。
こうして、やさしさが広がっていくといいですね。」
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香川県文化振興課 松本和彦さん
若い世代が繋ぐお遍路文化は世界遺産の意味
「ひと言で地域と言っても多様性を含んでいます。
学校や所有者、学識経験者など多様な広がりがあると思っています。
その中で次世代を担う子どもたちに地元のことを知ってもらうために
大学生が子どもたちに教えることで、
このことが地域の主体的な取り組みと捉えることができ
将来に向けて世界遺産登録に繋がる意味のある活動です。」
札所の調査は毎年継続的に、各札所の寺院や遍路道など県・市町が行われていて
今年度も別のお寺で調査が行われています。
「世界遺産登録に向け
価値を明らかにするために各寺院にどんな歴史があり
どんな所蔵の文化財があるのか把握しておく必要があるため
詳しい調査を行っている状況です。」
「こうして私たちが調査したものは
地元の方々に知ってもらうために報告し還元していくことで、
地元からの盛り上がりにつなげていくというサイクルを
作り上げたいと思ってこのようなイベントを企画していっています。」
松本さんのお遍路に対しての想い
「香川県生まれの香川県育ちですので、
遍路というのは身近なものと思って育ってきました。
遍路といえば<お接待>。香川の人々の中には知らず知らずのうちに
<お接待>の心が息づいています。
世界遺産登録へ向けて、人々の持つ<お接待>その気持ちも文化財として
伝えていきたいと思っています。」