総本山善通寺 新春対談第2弾 {その時に出会う}物語
四国八十八カ所霊場の開創、弘法大師空海。
その生誕の地善通寺では令和5年に弘法大師生誕1250年を迎え
今年は、前夜祭のような大きな行事を控える総本山善通寺.
新春特別対談 第2弾
今回放送では、来年に迫った『弘法大師生誕1250年』
[その時に出会う]お話をお聞きします。
真言宗善通寺派総本山善通寺法主 菅 智潤 大僧正
株式会社アイム 沼田 憲孝社長
来年は善通寺では大きな節目に当たる弘法大師生誕1250年特別な年がやってきます。
その特別な年を控えた今年だからこそ、私たちができることはありますか?
《菅法主》
「令和5年、弘法大師さまが善通寺でお生まれになって1250年。
50年に一度の節目の年に当たります。
我々も弘法大師さまの教えの勉強をしなければと思っています。
みなさまにもこれを機会として
弘法大師さまの想いを体感されてはいかがでしょう。
弘法大師さまの著作を解説書ではなく、原文で読むことに挑戦していただければ
今は文庫本でお大師様の原文が出ております。
ぜひ、この節目にお大師様の教えを体得する機会にしていただきたいです。
本には原文と和訳と載っていますので
まず、和訳を読み次に原文に挑戦すると良いです。
株式会社アイム 沼田 憲孝社長
善通寺は弘法大師の生誕の地ですので、やはりお遍路さんについてお聞きします。
菅法主自ら、お遍路さんを導かれることはおありですか?
《菅法主》
「我々僧侶はお遍路の先達とはいわずに「引率」という表現をいまします。
私たちもお遍路さんをゆっくりとお参りしていただくため「引率」させていただいています。」
《沼田社長》
お遍路さんが増えてきているとお感じになりますか?
《菅法主》
「コロナが落ち着いた10月半ばから、北海道から九州といった全国からツアーのお遍路さんが増えてきています。」
自らもお遍路さんをされるからこそ、
お遍路さんの思いに共感されるところがおありだとか?
《菅法主》
「私も『お四国病』とでもいいましょうか。その気持ちがわかるのです。
お参りしなければ落ち着かなくなるのが四国のお参り・四国遍路なのです。
『お四国さん』は一度回ったら終わりでなく、何度もお参りして
少しでもお大師さんに近づきたいと願い、修行させていただくのが
お遍路さんの想いだと思います。」
《沼田社長》
香川に根付くお遍路文化をどう見ていらっしゃいますか?
《菅法主》
「基本白装束で参りますので、地位も身分の違いも男女差までもなく
単なる一人のお遍路さんとなります。
私も経験がありますが、最初はいろいろな願い事を持ってお参りするのですが
讃岐の涅槃の国に入る頃には、願い事は無くなるのです。
ただお参りするだけでありがたいという気持ちになっていくのです。
それがお遍路さんの究極の姿です。」
《沼田社長》
白装束に込められた思いについて聞かせてください。
《菅法主》
「究極に言えば死装束ですから、一旦この世から離れてお遍路に行くのだ。
別の世界に行くのだという思いがあるのです。
50回100回と数を重ねられる方もいらっしゃいますが、
そういう方は『ただお参りしたい』という真摯な想いになっていかれます。」
《沼田社長》
できるだけ速く歩き遍路で回ろうとして
途中で「遍路転がし」に遭いダウンする若い人もいれば、
少々足が悪いお年を召した方が何度も回られたりします。その違いは?
《菅法主》
「ありがたい」という気持ちになった方がお参りすると
足が悪い方でもうまくお参りできるのですが、
気持ちが整っていない方が
お参りすると無理が出てくるのでしょうね。
整え方はございますか?
《菅法主》
「何回もお参りしなければ、体得できないものもあるでしょうね。
同行二人・・・一人でお参りしていてもお大師様がついて
歩いてくださるからこそ、厳しいところでお陰をいただくことがあります。
基本は歩き遍路ですが、それが難しい場合はそれぞれご自身の状況によってお参りされたら良いのです。」
《沼田社長》
「短い時間でしたが、気づきを頂けました。
お遍路を回っていくと、最後にはお参りするだけで感謝の気持ちが湧いてくるというお話でしたが、
実は私たちの仕事でも「うちの会社だけ良ければいい」というような事をしていると
「遍路転がし」のようなことになってしまうのかな?
今日お話を聞かせていただきながら思いました。今年から、また気持ちも新たに頑張ります。
ありがとうございました。」