STORY 八十八

毎週日曜日9:00~9:15

それぞれの人や文化が持つ多様性。
未来のために今、それぞれの想いを受け入れるやさしさが、求められています。
古来よりうれしさや悲しみ、時にはその人の人生そのものを受け入れてきた四国お遍路には、
過去・現在、そして未来に続いているやさしさがあります。
これは、そのやさしさを探しに行く八十八という名の物語。

STORY 八十八

STORY 八十八

毎週日曜日 9:00~9:15
提供 株式会社アイム

2022年02月06日放送分

学業成就の願い 春待つ人をやさしく受け入れる巡礼地の物語

まだ春遠い2月。

受験シーズンのこの時期に、

春を願う人々をやさしく迎えるお寺があります。

四国霊場第71番 剣五山 千手院 弥谷寺

 

剣五山という山の名前の由来をお聞かせください

四国霊場第71番 剣五山 千手院 弥谷寺

建林 良剛 住職

この由来はお大師様が唐から帰られて、

密教の秘法をもとに修行していたところ

天から五筋の剣が降り下り、

仏のお告げをいただいて観世音菩薩のお山であるとして

「剣五山」と名付けられました。

ご本尊は千手観音菩薩をお祀りし、

弥山(みせん):仏教の宇宙観に基づいた山岳と谷が多い地形から

「弥谷寺」と寺名になったと伝えられています。

しかしながら、このお寺自体はお大師様の修行される以前に

行基菩薩が聖武天皇の勅願によりできたお寺で

「蓮華山八国寺(れんげざんやこくじ)」という名前で始まったと

伝わる1300年の歴史あるお寺でございます。

 

ここはお四国でも難所と言われる階段の多いお寺として知られていますが、

実は山頂で標高は382mの里山でございます。

その200~250mの中腹にお寺が建っております。

特徴的なのは「凝灰角礫岩(ぎょうかいかくれきがん)」

という岩肌が砂岩でできており

加工しやすいことから、

仏さまや五輪を刻み修行された痕跡が多く残るお寺でございます。

《建林 住職》

その当時は今のような緑に覆われた山ではなく、

奇岩怪石(きがんかいせき)の残る岩山だったのではなかろうか

と思うのです。

そういった意味で地元の人々から神様が宿る場所

という霊山信仰のある山でした。

この山全体足元に及ぶまで、五輪塔、

阿弥陀如来の摩崖仏など仏様を彫り刻んでいる様子が見られます。

修行の聖地であると言い伝えられております。

お大師様も若いときに、四国の海辺を歩いて行った跡を、

お大師様について慕う人々が同じ修行の道を辿ったのが

四国八十八カ所の始まりであります。

その後江戸時代に民衆の方々にも広がったものです。

こちらをはじめ四国霊場は人々を救おうとお大師様が歩んだ修行の地。

人々と共にお大師様が一緒に修行してくださる

「同行二人」の教えのもと、悩みを抱える方やご病気の方の

いろいろな意味で心を癒し、

心の垢を洗い落としていく道場とし

お大師様が八十八ヶ所を開いてくださったのだと思います。

ですからどなたが参られても良いのです。

宗派の垣根を越えて、誰でもお参りできる道場として

お大師様が開かれたのです。

今はコロナ禍で止まっていますが、

ここ何十年と海外からもたくさん来られていました。

近年は歩き遍路もたくさん来られています。

特に若い方や定年退職の方など、

自分を試す意味で最初は「お四国をしてみたい」と歩かれて、

そのうち地元の人々の優しさや出会った方々とお話していく中で

人々に癒され、お経を唱える事に癒され、

その人にその人によりそれぞれのご利益を受けられていきます。

 

そうして「もう一度回りたい」とリピートされていくのが、

お四国の本当の魅力であると言えます。

これからの季節に思いを寄せてこの弥谷寺を訪れる場所とは?

《建林 住職》

今いる場所は奥の院で、大師堂のすぐ裏がこちら奥の院になっています。

ここのお寺はお大師様のお生まれになる以前からあり、

「南都六宗」の奈良仏教の還学(げんがく)の地でありました。

お大師様も7歳から12歳までよくこちらに来られて

学ばれていた場所という言い伝えがあります。

こちらが、奥の院の獅子の岩屋(獅子が口を開いた形の岩窟)

この岩屋の中でお大師様が還学されたのです。

明り取りの窓もこちらにあります。

獅子吼(ししく)は仏の説法で獅子が吼えるよう

ここの獅子の岩屋は1300年近くの歴史があるのです。

普通の岩屋はこうして掘られると水が湧き出てくるのですが、

不思議なことにここは一切水が染み出てこないのです。

水滴が落ちない。

不思議な場所なのです。

 

自然光が入る明り取りの窓があり、神秘性を増すようです。

《建林 住職》

お大師様が修行された窓ですが、

真言宗の修行の地にある窓は

だいたい南西から南向きで明けの明星(金星)が

拝める位置にあるのです。室戸にもありますね。

昔から明けの明星を拝み修行する方法があるのです。

虚空蔵空求聞持法(こくうぞうくもんじほう)という

一日一万字以上唱えたりするもので、

あらゆる仏典が頭に入るという難行苦行の末、

弘法大師はその明けの明星が口から入り

悟りを開かれた伝説があります。

今、獅子の岩屋にお大師様が鎮座され訪れた人々をお迎えしていただけます。

こちらは、いつもは本堂にいらっしゃるのですが、

お顔がたいへん有難くて皆さま感動されるのです。

副住職と相談しこの機会に皆様にご紹介した方が

良いのではないかということでこちらに下りてきていただいて、

今いらっしゃいます。

これは弘法大師ご生誕1200年記念の時にも一時させていただいて、

来年がお大師様ご生誕1250年の生誕記念の年になりますので

こちらに下りていただき、

そのあとは修理にお出ししてまた本堂にお返ししようと考えております。

しばらくの間、皆さんにご紹介させていただきたいと思っております。

 

真言宗ではお授けによって受け継がれる教えの様子ですが、

様子は伝法灌頂(でんぽうかんじょう)という

阿闍梨として一人前になるのですが、普通は図画で伝わるので

こういった像でのものは珍しいのです。

このお大師像は江戸時代のものです。

こちらのお寺は学問道場で、

お大師様の幼少期に学問されたということで

昔から信心されています。

そういった意味でたくさんの方が

受験シーズンに合格祈願に来られたりいたします。

こういったところに来られて、

受験の方々は勉強によって心も疲れていらっしぃます。

こういった心の洗われるところに来ると癒されて帰っていき、

さらに勉強できるようになると思います。

このお寺の絵馬は、善通寺さんにも残る「稚児大師」の絵馬です。

みなさま御祈願を書いていただいて

奉納していただくようになっています。

 

絵馬には弘法大師ご学問所 弥谷寺奥の院 学問成就 福寿増長とあります。

絵馬はいつごろからいつまで奉納されるものですか?

《建林 住職》

祈願された絵馬は正月から始まって

年度を越えて夏くらいまでこちらに置かせていただいています。

ご祈祷絵馬に福岡や高知からの参拝者がおられるようですね?

親御さんがお四国回られている途中でという方もおられます。県外から受験するご本人が来られることは少ないとは思います。

鈴の音が聞きたいですね。

《建林 住職》

今まで通りのお参りができるようになることを願っています。

この番組は、radikoでも お聴きいただけます

 

 

 

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