善通寺を巡る~サイドストーリー~
6月は弘法大師の誕生月ということで
善通寺の広報・中嶋孝謙さんに
善通寺をご案内いただきました。
放送ではどうしても入りきらなかったけれど、
ぜひ聞いていただきたい素晴らしいお話を
ブログでサイドストーリーとしてご紹介します。
お遍路さんがお寺をお参りしたときに
まず鐘を突いて「お邪魔します」とお知らせをすると
聞きました。
《中嶋さん》
「そうですね。お遍路さんがお寺に到着した時には
一回鐘を突いて、「来ました」とご挨拶をして
本堂、大師堂とお参りをするというのが
流れになっているようですね。
そういう方が、いらっしゃいます。」
西側の大きな駐車場の方から来ますと、
正面に鐘突き堂が見えるという形になりますね。
お遍路さんは鐘を突いて、お参りを進めるという形ですね。
鐘突き堂の前は納経所になっており、
このお隣に善通寺の奥深さを知る
場所があり、案内していただきました。
《中嶋さん》
「納経所の隣には『親鸞堂』がございます。
浄土真宗を開かれた親鸞さんをお祀りしている
お堂でございます。
なぜここに親鸞さんがお祀りされているか、
簡単に説明させていただきます。
善通寺には浄土宗を開かれた法然さんの
「法然上人逆修之塔」がありますが、
親鸞さんはその弟子、法然さんが師匠になられます。
法然さんが来た善通寺に、親鸞さんも行きたいと
お大師さんにも会いたいという想いがあったのですが、
親鸞さんは善通寺に来ることが叶わなかったのです。
その後に、吉田源五左衛門という方にお願いをして
親鸞さん自らが彫ったお像を善通寺に
奉納したのです。
そのお像は親鸞堂の中に「鎌田の御影(みえ)」
として安置されております。
「鎌田の御影(みえ)」と日本にここにしかない
ご本尊になっております。
なかなかお遍路していると気が付かないところであるかと
思います。」
親鸞堂は、中に入ることができます。
入り口は行ってすぐのところにお像が安置されています。
《中嶋さん》
「親鸞さんが自ら彫られた木造のお姿があります。
親鸞さん、自らの姿を彫られた
自画像のようなものでございます。」
《中嶋さん》
「この親鸞堂も江戸時代からありますので、
ぜひ見ていただきたいお堂がたくさんあります。
日本の仏教界を代表される方々、親鸞さん法然さんを
この善通寺という真言宗を代表する
お寺がお祀りしているというのは
お大師さんの
この真言宗の
懐の深さであると言えます。」
お遍路さんが宗派にとらわれず
お遍路される根底にその懐の深さが由来するのではないですか?
《中嶋さん》
「そうですね。
お遍路されている方々の宗旨宗派の割合としましては
浄土真宗、浄土宗の方々が
やはり半分以上いらっしゃいます。
また、外国の方も何かしらの感銘を受けて
帰られるというのは
空海さんの懐の深さであります。
色々な方を受け入れるというお気持ちがあるのかなと
思います。
ここ親鸞堂はありがたいことに
近隣の浄土真宗の門徒さんがお掃除をしてくださったり
お供え物をしてくださったりしています。
ですからこの畳も非常に綺麗に
していただいております。」
善通寺の懐の深さを知る象徴的な場所ですね。
《中嶋さん》
「良い場所だと私も思っております。」
善通寺西のエリアには、
いくつもこういった建物が存在しますね。
《中嶋さん》
「われわれは、諸堂(しょどう)
諸々のお堂ということで、
呼んでいるお堂がいくつもあります。
親鸞堂からスタートしていくと、隣に閻魔堂
閻魔さんをお祀りしているお堂。
その隣にはお不動さんをお祀りしている
護摩堂。
その隣にはお地蔵様をお祀りしている
地蔵堂
その隣には阿弥陀さま・阿弥陀如来さまをお祀りしている
聖霊殿(しょうりょうでん)
その奥に聖天をお祀りしている
聖天堂という風にたくさんございます。」
諸堂と呼ばれる善通寺のお堂の中の一つ
地蔵堂の不思議なお話もお聞きしました。
《中嶋さん》
「『ほやけ地蔵さま』は石でできたお地蔵様を
お祀りしています。
このお地蔵さまには逸話が一つあります。
あるお母様が女の子を出産されますと
その子の顔に『ほやけ』といって
シミ・痣のようなものがあり、
これが女の子なので将来を心配し
毎日のようにお地蔵様に
「シミが薄くなって、無くなりますように」
とお願いされていました。
ある日、女の子の顔を見ると
痣が無くなっていて、お地蔵様に感謝をしようと
訪れるとお地蔵様のお顔に
女の子の痣があった同じ場所にシミができていたと
いうお話です。」
今もお地蔵さまにはお口の横にシミがあり
女の子の痣が移ったかのようです。
《中嶋さん》
「今でもお肌のトラブルに悩む人が
ここにお参りをされていることが多いですね。
ここにもお花とお供え物そして
お地蔵様の前掛け帽子を信者さんが
ご準備してくださっています。
かなり大きなお地蔵様です。」
中嶋さんにご案内いただき、
たくさんのお参りしたくなるポイントがあり
驚きました。
《中嶋さん》
「『金堂のお薬師さんとお大師さんだけではないぞ』
というのが善通寺の良いところだと思います。
お参りに来ると本堂と御影堂で終えてしまうことが
多いと思いますが・・・
《中嶋さん》
「本当にお遍路さんはお忙しいので
お参りしたら次に次にとお参りして行かないといけないので
市川さんのおっしゃる通り
本堂にお参り、お大師様にお参りしたら
次のお寺に行かれる方が普通ですので、
そういう方が多いかなと思います。」
実は一つ一つのお堂に歴史や重みや想いがありますね。
《中嶋さん》
「みなさんに見ていただきたいお堂はたくさんあります。
お時間がない時には、ご自分が気になるところだけでも
回って頂けたらと思います。」
境内には楠木をはじめ、とてもおおきな木が
各所に植えられて、手入れされていますので
そういった風情を見るだけでも特別なものがありますね。
《中嶋さん》
「そうですね。春の頃には涅槃桜(ねはんざくら、)
また今、紅葉を少し植えておりますので
秋になれば美しい紅葉が見られるのではないかと
思っています。」
お参りいただく方にも楽しみがあり、
また特別な場所としての善通寺というものが
各所にあると感じられました。
《中嶋さん》
「善通寺では各所に見どころをちりばめて
おりますので、みなさん各々で感じ取っていただければと
思います。」
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