五色台 白峯寺を巡る物語2
五色台の峰を登り、辿り着くお遍路さんを出迎える
白峯寺の鮮やかな紫陽花の花。
今日7月10日は白峯寺の千日会。
ご本尊の千手観音の特別御開帳があります。
前回に続き、五色台白峯寺を巡る物語です。
四国第八十一番霊場
綾松山 洞林院 白峯寺
ご住職の三好 実誠さんに案内していただきました。
門をくぐり境内に入ると、目の前に見える護摩堂。
《三好住職》
「この護摩堂の中が納経所になっておりますので、
お四国を参られた方の納経の受付であったり
お寺自体に観光で来られた方が御朱印を
頂かれるのもこちらで全部受け付けておりますし
お守り等の授与だったり
ご供養・ご祈願の受付というのもこちらで
させて頂いております。
基本的にはいつ来ていただいても
ご対応できるようにはしております。
お四国のお納経の場合は必ず納経帳に
お納経した後は
それと合わせてそのお寺のご本尊の御姿
いわゆる御影(おみえ)のお札を
授与させていただいております。
白峯寺では八十八ヶ所の御朱印と合わせて
その他当山独自の御朱印を三つ
ございます。
一つが『日本八天狗白峯大権現相模坊の御朱印』
もう一つが『崇徳天皇念持仏十一面観世音菩薩の御朱印』
そして白峯寺の奥の院にあります『毘沙門天の御朱印』
その御朱印にそれぞれ対応する御姿も合わせて
授与させていただいております。」
こちらの境内も本当に紫陽花が綺麗です。
《三好住職》
「基本的に当山の境内地の紫陽花は
青色の紫陽花が多いのですが
それ以外にも柏葉紫陽花だったり
葉っぱに斑(ふ)が入った斑入り額紫陽花があります。」
五色台の中にある白峯寺は高さで言うとどのくらいですか?
《三好住職》
「境内地の中でも高低差があります。
概ね280mから300mくらいの中に
境内地があるというかたちになっていますね。
お坊さんとしても作務である境内地の清掃がありますが、
白峯寺としての管理地は山全域に渡っていますので
本当に山深いところはプロフェッショナルの林業の方に
お願いするのですけれども、境内地に近い場所だったりすると
自分たちで整備しますので日々・・・お遍路さんをお迎えし、
そして、この新緑の頃は刈り払い機やチェーンソーを持って
山林を走り回っているというのが実情ですね。」
ご住職自らですか?
《三好住職》
「そうです。勤めていただいている方と一緒に。この話というのは、
山寺あるあるかなと思います。
山に入るのもあるし、谷に降りるのもあるし木に登ったり、
石垣に登ったりというのは、通常業務の内ですね。」
では本堂・大師堂に向かいます。
《三好住職》
「だいたい階段も90段ほどあります。
本堂までお参りに行くのが難しい方は
最初の本堂は行って正面の護摩堂の方に、
ご本尊とお大師様の御分身をお祀りしております。
そちらでしたらスロープもありますので
車いすの方でもお参りいただけるように
ご対応させていただいております。」
階段を一区切り分上がり切ったところでお堂をご紹介いただきました。
《三好住職》
「一区切り階段を上がったところの本堂向かって
左側が薬師堂、右側が鐘楼堂というかたちになります。
薬師堂の方には薬師如来さんと日光菩薩月光菩薩。
そして十二神将・仏さんをお祀りしているのですけれども
それ以外にちょっと専門的になりますが
胎蔵界大日如来と金剛界大日如来という仏さんを
お祀りしております。
その大日如来が未・申年の守り本尊になりますね。
このお堂も二層式の形式のお堂で一重裳階付(いちじゅうもこしつき)
いわゆるスカートを履いた状態という風に見て頂いたら
良いかと思うのですけれども、
一層目の壁の柱の位置と二層目の壁の柱が違う。
ちょっと古いお家だとだいたい同じような形式で実は
作られています。
こういった社寺建築が基になって現代の和風建築の基礎を
築いているのですね。」
「(石段を登り)二つ目の区切りを終えたところで
本堂向かって左側が行者堂というお堂で役行者
いわゆる役小角(えんのおづぬ)を
お祀りしているお堂になりまして
その他に十王(じゅうおう)人が死ぬと裁きを下す
十人の神官と閻魔明王。それと閻魔明王の鏡になる地蔵菩薩。
それと虚空蔵菩薩をお祀りしており
虚空蔵菩薩は丑寅の守り本尊になりますので
丑寅のお生まれの方はこちらにお参り方が多いですね。
(本堂へ)
《三好住職》
「階段上がり切って正面が本堂。向かって右側が大師堂。
その反対側左側が阿弥陀堂となっております。
白峯寺の本堂にあります本尊が千手観世音菩薩。
観音さんの縁日7月10日にお参りしていただくと
(実はこの日というのは一日お参りすると)
4万6千日のお参りしたのと同等の功徳がある、
とても都合の良い縁日なので
この日に皆さんお参りしていただくと良いかと思います。
そしてお参りしていただいた方、お申込みいただいた方には
この一日だけしか授与していないご本尊様のお守りを
授与させていただいております。
毎年7月10日午前10時から本堂の方で般若心経をあげるというような
お勤めをさせていただいていまして
この日に限りご本尊さんの厨子を御開帳させて頂いております。
そして、
令和5年がお大師さん(弘法大師)のご誕生1250年になりますので、
その前年度令和4年、当年度の令和5年、翌年の令和6年の三ヵ年は
ご本尊さんだけではなく、
その脇侍になります、愛染明王だったり
馬頭観音の厨子も御開帳させていただきます。
特別なめでたい年ということでお参りしていただけたら、
結構かと思います。」
《三好住職》
「縁日ですので仏さんと縁を結ぶという日となります。
ただ単純に縁起が良い日だけではなく
そこにお参りした方々のご縁だったり
その道中のご縁だったり
お家を出て、お家に帰るまでがご縁日です。
遠足ではないですけれどもね。
その日一日、何かしらの普段、感じられないような縁
というものもある。
それが必然性だったり偶然性だったり色々あるとは思うのですけれども
それも「ご縁だ」と思って感じて頂けたらと思います。」
《三好住職》
「本堂向かって左側、阿弥陀堂というお堂になりまして
今のところ白峯寺では一番古いお堂で尚且つ、
松平藩の寄進を受けて建てた
小さいながら均整の取れた建物です。
今でこそ茶色一色になっているのですが、
昔は彩色がされていて柱が黒だったり、
板は朱色に塗られていたりというお堂で
阿弥陀三尊、阿弥陀如来と勢至菩薩と観音菩薩。
その後ろには小型の阿弥陀如来が約千体。
ですから阿弥陀堂と言いながらも「千体堂」と書かれている古図もありますね。
万治四年ですから1600年代なので、築400年ちょっとくらいの建物です。」
白峯寺境内のいたるところに、
その歴史をずっと繋いできたものがたくさんありますね。
《三好住職》
「そうですね。住職という立場なのですが、
この1200年続いてきたバトンを
次の100年200年先に繋ぐ役目というのが
一番と思っています。
今でいう「職業」という言い方になりますけれども
こういう職業に携わることになったというのも
これも「縁」なのだと思いますね。」
次回も、霊峰五色台 白峯寺を巡る物語です。
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