「霊峰五色台三霊場参り」始まりの物語
五色台の山懐に抱かれるようにある霊場。
昔ながらの遍路道に歩みを進めるお遍路さん。
高松市と坂出市に跨る五色台は
瀬戸内海にせり出すようにそびえる霊峰です。
今回は「霊峰五色台三霊場参り」始まりの物語です。
四国第八十一番霊場
綾松山 洞林院 白峯寺
ご住職の 三好 実誠 さんにお話を伺います。
「この五色台全域は瀬戸内海国立公園に入っておりますので
過度な開発がされないようにある種の規制がかかっております。
四季折々の自然が楽しめるのも一つですし、
山でありながら海辺に隣接しておりますので、
海側の先端の方に行きますと瀬戸内海が一望できたり
という情景が楽しめます。」
少し車を進めますと素晴らしい景色が広がり
各所で全く違う表情を見せるところです。
《三好住職》
「坂出側からでしたら瀬戸大橋、
夜に上がって頂くと夜景でライトアップされている場合があります。
高松側を見ていただくと
屋島、高松市の景色や夜景が
楽しめます。
五色台という山は実はそれ自体は存在していません。
五色台というのは総称であり、
根香寺さんのある青峰山、白峯寺がある白峰山
大平山、猪尻山などの山の合体した総称を
「五色台」と昔から地元の方々が呼んでいらっしゃって、
その中でも81番の白峯寺・82番の根香寺があり
お大師さんの霊跡がある場所でもありますので、
山中には丁石、修験の道場が昔から点在している場所です。」
『80番国分寺、81番白峯寺、82番の根香寺を巡る三霊場参り』
この三カ寺がちょうど
この五色台周辺にありますので
この三カ寺合わせて『霊峰五色台三霊場参り』というものを
構成させていただきました。
お遍路さんは霊場を巡るのが
メインなので、国分寺を行かれて
白峯寺・根香寺で次は一宮寺に行くというお寺と道。
たまに食事を摂られるということはあるのですけれども
この五色台周辺ですと金時人参や金時芋、小原紅早生という通称「紅みかん」
といったものが多数あります。
そして鬼無の側に行けば、世界的に注目されている盆栽です。
ヨーロッパの方からもバイヤーさんがそれぞれの松園に行かれていると聞いています。
地域をもっと知って頂きたい。
お遍路さんというのは、せっかく日本全国、世界各国から来られていますので
お寺とお寺を結ぶだけでは勿体ないと思って、
お寺に行く道中からほんの数分、車で走ったり、歩くだけで、
地元にあるブランド品をお安く手に入れることもできますので、
お遍路さんを通じてもっと地域を知ってもらい、
地域の活性化に繋げられたらと思って企画したのが最初です。」
『霊峰五色台三霊場参り』は四国のエッセンスをぎゅっと凝縮したプレ遍路。
この三カ寺(国分寺・白峯寺・根香寺)というのは
国分寺と白峯寺は真言宗、根香寺は天台宗。
国分寺は大官大寺方式のいわゆる国が造営した平野のお寺。
根香寺と白峯寺は信仰心のある当時の修行僧の方々が作り上げていった
山岳修行寺院。
それぞれのお寺がそれぞれの面を持った形式で
それを繋ぐ遍路道もアスファルト道や住宅地を通る遍路道もあれば
文化庁が定めた史跡にもなっている遍路道・根香寺道を歩くという、
本当に昔ながらの景色を見ながら行くという所もあります。
いわゆる現代地である平場を歩いたり、
軽く山を歩いたりして、もしものとき
多くの山中では、救急車が来てくれるところはほぼないのですが、
五色台の場合は遍路道に並走するように県道が通っていますので、
何かある時は、県道まで出ればレスキューという面でも非常に安心できる
部分であると思います。」
本当に四国霊場が凝縮されていますね。
「本当に真言宗だけでなく天台宗も平野のお寺だけでなく、
山岳寺院も『霊峰五色台三霊場参り』のお寺にはあります。
そしてそれを繋ぐ地域も坂出市と高松市に渡っておりますので、
瀬戸内の気候ではありますが、四国遍路のさわりを味わえる
エッセンスがぎゅっと凝縮した時間を体験できると思っております。
最近は自転車の方だったり、歩き、車やバイクでお参りされたり
ドライブ・ツーリングされたりする方もいらっしゃいますので
本当にお参りという一面だけではなく
色々な面、観光やアクテビティの面でも楽しみに
来られる方が徐々に増えていると感じます。」
『霊峰五色台三霊場参り』には専用の納経帳もあります。
《三好住職》
「基本的には80番、81番、82番のお寺にはこの納経帳を
置いています。
それと合わせて無料のガイドマップが合わせて置いています。
この無料のガイドマップにはお遍路さんの簡単な作法や
道中の案内マップ、施設の連絡先と
三霊場参りの特色を載せております。
帳面の方は、B4サイズなのですけれども
お遍路を始めようと思っても、
なかなか1番からとなったら敷居が高い、
お遍路用品も結構値段がするなという時に
『霊峰五色台三霊場参り』納経帳はB4サイズ一枚100円で
授与させていただいています。
プレ遍路として巡って頂いて
3つを集めて額に入れていただくと自分の達成したものが
しっかり出来上がります。
またそれを持って回って頂いた方には、記念ピンバッジも
授与させていただいております。
これらはどこで初めてどこで終わって頂いても、
必ずそれは揃うようにしております。」
《三好住職》
「このガイドブックの中には簡単な説明や、
行程表、モデルコースになるものも全部入れております。
地元五色台の土地勘や距離感があまりなくても
回れるようにタイムスケジュールを組んで
それが徒歩、車で組んであります。
車でお寺だけを巡りたい、車で五色台全体を巡りたい、
1泊2日でこの地域を巡りたいという
それぞれのバージョンに分けて
都合4ルートを策定しております。」
「このルート策定自体もお寺の方で意見を出し合いながら
それぞれのニーズに合ったものをできたらと考えました。
どうしても歩きだと一日かかってしまいますので、
8時間程度になります。
車だとお寺もめぐりたいけれど、観光地も巡りたいという
方にも対応できるように
五色台の3霊場を約4時間程度で巡って頂いた後に
栗林公園だったり、金毘羅山だったり
屋島などを観光できるように
タイムスケジュールを組んでご紹介しております。」
「『お四国』に対する想いや考えというのは
人それぞれ、「十人十色」という言葉通りです。
誰かの供養のためだったり、誰かの祈願のためだったり、
本当にいろいろあるとは思いますが、
やることは決まっています。
自分のすべきことは目の前に見えてくる。
それをするだけ、それ以外のことは特に考える必要はありません。
どんな人でもお大師さまや仏さまの前では
同じことをずっと続けます。
行動が単純になっていくので、逆に言えば
思考が研ぎ澄まされます。
本当に同じことの繰り返し。
お寺に行って身を清めて、仏さまの前とお大師様の前で
読経して、ご納経いただいて次のお寺へ。
次のお寺へ行っても結局同じこと。
それをずっとすることで、
日々何から『しないといけない』という
時間に追われるのではなく
『すること』に追われるのではなく、
仏さまやお大師さまに向き合う時間。
それしかないので、回るという行為、
それが歩きだったり、車だったり、ツアーだったり
色々な形態はあるのですが、本質はみんな一緒で
変わらない。
そういった他のことを考えずに「仏さまと向き合う」
「お大師さまと向き合う」しいてはそれが
「自分と向き合う時間」になると思います。」
今回は「霊峰五色台三霊場参り」始まりの物語でした。
写真提供:白峯寺
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