STORY 八十八

毎週日曜日9:00~9:15

それぞれの人や文化が持つ多様性。
未来のために今、それぞれの想いを受け入れるやさしさが、求められています。
古来よりうれしさや悲しみ、時にはその人の人生そのものを受け入れてきた四国お遍路には、
過去・現在、そして未来に続いているやさしさがあります。
これは、そのやさしさを探しに行く八十八という名の物語。

STORY 八十八

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毎週日曜日 9:00~9:15
提供 株式会社アイム

2022年08月21日放送分

お遍路さんへの想いを繋ぐ雲辺寺ロープウェイの物語

四国霊場第66番札所雲辺寺

四国高野と言われ、一番標高の高いところにある札所です。

ここへは、多くのお遍路さんが

ロープウェイを使って登りお参りをしています。

整備した山頂公園では、大きなブランコを

絶景に向かって漕ぎだす「天空のブランコ」が人気となり

連日多くの人が訪れ、何枚も写真を収める様子が見られます。

今回は、お遍路さんへの想いを繋ぐ雲辺寺ロープウェイの物語です。

雲辺寺ロープウェイを運営する四国ケーブル株式会社営業企画部

赤川大樹さんと一緒にロープウェイに乗り込みます。

(ゴンドラ内アナウンス)

「本日はようこそ、四国雲辺寺にお越しくださいました。

昭和62年3月に開業いたしましたこのロープウェイはスイス製

約101人乗りのゴンドラで標高916メートルの山頂駅まで

長さ2594メートル高低差657メートルを最高時速36キロの

高速運転で進んでおります・・・」

今、山頂駅に着きました。

ここ高さが・・・

《赤川さん》

「ロープウェイの山頂駅が標高916メートルになります。」

 

涼しいですね。

《赤川さん》

「そうですね。麓よりだいたい7度から8度気温が違いますので、

真夏でも30度を超えることはほとんどないです。」

こんなに猛暑と言われても、ここはまさに別天地。

《赤川さん》

「そうですね。今年の真夏で一番上がったのは27度。」

さすが、四国高野ですね。

《赤川さん》

「そうですね。一番高いところにありますので」

山頂駅に上がってきますと、ここは雲辺寺さんの参道と言ってもいいの

でしょうか?

《赤川さん》

「ちょうど(山頂駅を)出たところに県境があって

徳島県側になりますと、もう雲辺寺さんの境内の中ということに

なりますので、ここから参道が続いております。」

五百羅漢ですか?こちらにあるのは?

《赤川さん》

「はい。五百体の羅漢様。等身大の羅漢様がありまして

ここから境内に向かって並んでおります。」

 

そして、右側が香川県

《赤川さん》

「はい香川県側。弊社四国ケーブルが管理している土地になります。

山頂公園は、もともと冬場はスキー場をやっていたところで

夏は芝生公園だったのですけれども

3年前よりそこをリニューアル整備いたしまして

みなさんに楽しんでいただけるような公園ということで

いろいろ整備をしております。」

今、目の前に毘沙門天の大きな銅像が

まさに讃岐を見下ろすように立ってらっしゃいます。

非常に印象的な大きな銅像ですね。

 

《赤川さん》

「高さが10メートル。重さが15トンありまして

雲辺寺の脇仏である毘沙門天を真似て作っております。」

 

(毘沙門天像のある場所は)山頂のさらに山頂ですね。

《赤川さん》

「ロープウェイができた次の年にできたと聞いています。

そして、山頂で組み立てたと私は聞いていますけれども

私は実際には見ていないので・・・」

赤川さんはロープウェイにはいつ入社されたのですか?

《赤川さん》

「私は2020年香川県に戻ってきて

その時に入社しましたので、まだ3年目。」

 

そうなのですね。でも赤川さんご自身は

この「天空のブランコ」の

仕掛け人だと聞いておりますが?

《赤川さん》

「ありがとうございます。

コロナが始まってすぐだったので、

ロープウェイが運休したり、お遍路さんの数が減ったりして

なかなか厳しい状況があって、社長のほうから

『お遍路さん以外の

山頂からの景色を生かした観光客や

地元のお客さんにまた来てもらえる場所を

作れ』という指令がありまして

色々リニューアルさせて頂いています。」

最近はお遍路さんもこの話題になっているスポットに

立ち寄られるそうですね。

《赤川さん》

「少しお時間のあるお遍路さんはお寺・雲辺寺から

足を伸ばして山頂公園の方に来ていただいて

ここからの景色を見ながらほっと一息ついたり

これから回る讃岐のお寺へこれからのお遍路に向けて

英気を養われる場所となっています。」

 

ブランコも乗られたりしていますか?

《赤川さん》

「はい。乗られています。

白い姿でブランコに乗られている姿を

何回か見たことがあるのです。

楽しまれていますね。」

 

案内して下さる赤川さんは、四国ケーブル株式会社の創始者の

お孫さんです。

「私の祖父が戦前運航していた

高松市にある八栗のケーブルが戦時中は中止になっていたので

それを復活させたところから始まったと聞いております。」

 

八栗ケーブルですか?八栗寺さんにあがるところの?

《赤川さん》

「はい。そうです。

祖父もお遍路をしておりまして、

その時に昔あったこの路線を復活させたら

お遍路さんがより多く回ってくれるのではないかと

いうふうに考えて最初始めたと聞いております。

今は車の道も通っているので、それほど

難しい苦ではない道になっていますけれども、

昔は山の上に上がるだけで一苦労だったときいております。」

 

今現在、四国ケーブル株式会社は八栗ケーブルを始め

こちらの雲辺寺ロープウェイと?

《赤川さん》

「徳島県にあります太龍寺ロープウェイ3社やっています。」

それぞれ途轍もないところにありますね。

《赤川さん》

「そうですね。雲辺寺も太龍寺もそれぞれ規模は

日本最大級だと思います。」

 

雲辺寺ロープウェイの始まりにはこんなエピソードが・・・

《赤川さん》

「昭和62年の3月にロープウェイは開業したのですけれども

その少し前に創業者の私の祖父がお遍路をしていた時に

雲辺寺の山頂で前住職とお話をする機会があったそうです。

前住職から今のロープウェイの山頂駅があるところ、

昔は展望館のようなものがあったそうですけれども

そこで「ここにロープウェイをかける決意をした」

と聞いております。」

ちなみに赤川さんはそのおじいさまの会話を

お父様からお聞きになったのですか?

《赤川さん》

「私の父、今の社長から雲辺寺ロープウェイを作ることになった

きっかけを軽い気持ちで聞いたら、

そういう良いエピソードだったのです。

特に徳島県のお寺になるので

それを徳島川でなく、

どうして香川県側に架けたのだろうと

ちょっと疑問に思ったので聞いてみたら

こちらの方が景色も良くて

たまたま山頂側に展望館もあって

下もちょっとした土地があったので

「ここだったらロープウェイを架けやすいのではないか!」

という前住職の提案であったと・・・」

創業者の赤川庄市さんが第66番札所雲辺寺の前ご住職と

出逢われたのがこのロープウェイができたきっかけ・・・

《赤川さん》

「たまたま山頂の展望館でお話しする機会があったと

聞いています。」

 

「たまたま」とおっしゃいましたが、

運命ですね。

《赤川さん》

「そう思いますね」

ロープウェイが架かる前、ここはどういう道だったのですか?

山道ですよね?

《赤川さん》

「そうですね。今と違って舗装された道もないので

山道を歩いて上がって来ていたと思います。

昔は山の上で、雲辺寺だけお参りができなかったという

お遍路さんもいたと聞いていますので

その方がロープウェイに乗って

車いすだったり足腰の悪い方も

「お参りできるようになってありがとう」と

いう言葉は聞いております。

境内すべてバリアフリーになっておりますので、

車いすでも来ることができます。」

《赤川さん》

「私の想いとしては、この山頂公園を最初の目的として来ていただいて

最初はついでで、隣にある雲辺寺さんに参って頂いて

山の奥に1200年も昔にこんなお寺ができたのだということとか、

地元にこんなすごいお寺があったのだという

お寺の魅力を知ってもらって

自分の家の周りにどんな八十八ヶ所のお寺があるのかなど

そういうように若い方にもお寺を少し巡るきっかけに

なってもらえたら良いなと思ってリニューアル整備しています。

やはりここからの景色が綺麗なのも

1200年も昔に雲辺寺さんができて

それから長い年月栄えてきたおかげで今のここがあると

思っています。

お寺とか興味がなかった方でも、ちょっと足を伸ばして頂いて

こんな山奥に素敵なお寺があることを知ってくれたらいいなと

思っています。」

ロープウェイは究極のお接待ではないかと思うのですが?

《赤川さん》

「そうですね。おそらく、創業した私の祖父も

そういう『お接待の気持ち』も、もちろんあったと思います。

お遍路文化は昔からあった文化なので、

これはもちろん途絶えさせてはいけないと思っていますし、

みなさん費用も日数もかかって大変な苦労をして回られていますので

その方に少しでもお力になれるように

運航をこれからも続けていかないといけないなと

思っています。

昔は雲辺寺だけお参りができなかったという方もいましたので

ロープウェイを架けたことによって

雲辺寺もお参りできるようになって、

八十八ヶ所全部回ることができるようになったというふうにも

聞いていますので、

もちろん歩いて全てを回っておられる方もいますけれども

ロープウェイがあることで、より多くの方に

お遍路文化を知ってもらって

自分も回るきっかけになってくれたら嬉しいと思います。」

今回はお遍路さんへの想いを繋ぐ

雲辺寺ロープウェイの物語でした。

番組は、radikoでも お聴きいただけます

YouTube配信もスタートしています。

こちらもご覧ください。

 

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