STORY 八十八

毎週日曜日9:00~9:15

それぞれの人や文化が持つ多様性。
未来のために今、それぞれの想いを受け入れるやさしさが、求められています。
古来よりうれしさや悲しみ、時にはその人の人生そのものを受け入れてきた四国お遍路には、
過去・現在、そして未来に続いているやさしさがあります。
これは、そのやさしさを探しに行く八十八という名の物語。

STORY 八十八

STORY 八十八

毎週日曜日 9:00~9:15
提供 株式会社アイム

2022年08月28日放送分

ケーブルカーで登る八栗寺へ続く物語

西側に屋島を望む高松市牟礼町五剣山の中腹にある

第85番札所八栗寺を目指す遍路道。

それに沿うように上に向かって登る八栗ケーブル。

お参りに来る人に寄り添い運航されています。

今回はケーブルカーで登る八栗寺へ続く物語です。

 

八栗ケーブルを運行するのは、雲辺寺や太龍寺んにロープウェイ架ける

四国ケーブル株式会社です。

 

企画営業部の赤川大樹さんにご一緒していただきます。

(ケーブルカー車内音声を収録)

雲辺寺ロープウェイはまさにロープにすがるように運転する形ですが、

こちらはケーブルカーなのですね。

《赤川さん》

「ケーブルカーはロープウェイと違って地面を走っていますので

鉄道…電車とほとんど同じになります。

ただ違う点としては、電車と違って

その車体にエンジンが積まれていませんので

ケーブルカーは一本の長いワイヤーロープの両端に車体が

付いていまして、山頂の駅でエンジンを回して

(ワイヤーロープを)巻き上げて車体を上下させるというのが

ケーブルカーになります。」

 

そういう意味でケーブルカーなのですね。

《赤川さん》

「そうです。」

動力こそ持たないけれども規格としては鉄道に限りなく近い。

《赤川さん》

「そうですね。鉄道事業法に基づいて運航しています。」

 

私たちがイメージする列車ほぼ同じ。

《赤川さん》

「そうですね。エンジンを持つか持たないかの違いですね。」

使っている車体を見ますと、可愛らしいですけれど・・・

《赤川さん》

「昭和39年1964年に日立でできた車体です。

1964年ですので東京オリンピックのとき

東海道新幹線0系と同じ日立の車体なのです。

それをモチーフにしているので

今でも可愛らしい車体で

レトロ感のある車体でみなさまに愛される車体になっています。」

なんとなく0系新幹線の鼻の丸いイメージありますね。

《赤川さん》

「そうですね。

赤と青と64年にできたものを今でも整備して

使っています。」

 

(ケーブルカー車内音声を収録)

山上駅までやってきました。四国霊場第85番札所真言宗八栗寺の

参道を進みます。

《赤川さん》

「ケーブルカー出たところから八栗寺さんの参道が続いていますので、

左右に様々な建物ありますので

ちょっとずつ寄り道しながらすべて見ていただいて

本堂の方へ行っていただきたいと思います。」

 

もともとこの八栗ケーブルが四国ケーブル株式会社の

スタートだったとお話を伺いましたね。

《赤川さん》

「昭和39年の12月に八栗ケーブルを復活させたところから

四国ケーブルは始まりました。」

 

復活ですか。

 

《赤川さん》

「そうです。戦前ですね、昭和5年ごろに初代のケーブルカーが

あったようです。

戦争に入りまして、太平洋戦争の時に鉄道のレールだったりが

国に供出されて廃線になった。

そのまま廃線が続いていたところ、創業者の赤川庄市が昭和39年12月に

復活させたと聞いております。

八栗さんはお遍路さんと商売の「お聖天さん」を祀っていますので

商売をされている方も香川県・徳島県・岡山県からも

来ていただいています。

お遍路のお寺の中で「お聖天さん」をお祀りしているのは

八栗寺さんだけですので、それも合わせて

八栗寺さんのお参りされる方が多いです。」

その「お聖天さん」をお参りに来られる方も本当に多いそうですね。

《赤川さん》

「八栗ケーブルは年中無休で朝の7時半から運転しておりますが、

毎月1日、「一日参り(ついたちまいり)」と言って

商売をされている方々は、朝早くから八栗寺さんにお参りされるのが

習慣になっていますので、八栗ケーブルの方も朝5時から運転をさせて頂いていて、みなさんにのって頂いております。」

 

1日は特別ダイヤ?

《赤川さん》

「そうです。毎月1日だけは朝の5時から運転しております。」

私たちが「八栗寺さん」にお参りするとなると・・・

年末年始が心に浮かびます。

《赤川さん》

「はい。そうですね。初詣には八栗寺さんに、香川県内だけでなく

県外の方もお参りによく来られていますので

大晦日から1日にかけては夜間営業、24時間動かしていますし、

1月7日くらいまでは特別ダイヤを組んで朝から夜遅くまで

運転をしております。」

大晦日から1日にかけては、ほとんどノンストップですか?

《赤川さん》

「そうです。お客様乗って頂いて、降りて乗って、動かして・・・

というのを夜間通してやっております。

他の事業所もそうなのですが、朝の7時20分とか

7時台の朝の早い時間に動かしているのは

お遍路さんに使って頂くため。

お遍路さんは7時ごろからお参りし始められますので

それに合わせてやっています。」

 

この山を登ってくるのが難しい方々にとっては、

なくてはならない存在ですものね。

《赤川さん》

「そうですね。みなさんが皆さん、歩いて上がれるわけではないので、

そういった方々にお参りしていただくために

運航しています。」

 

五剣山観自在院 八栗寺

ご住職の新見玄竜さんにお話を伺います。

かなりの険しい山岳霊場ですよね。

 

 

《新見住職》

「そうです。おそらくお大師さんがここに来られて

修行される前から、この地域の行場であったのであろうと

考えられます。」

 

五つの峰がそそり立つようです・・・

《新見住職》

「私も35年前にここに来まして、先代の弟子になったのですけれども

その時にこの五剣山を見まして

「嗚呼これは素晴らしい山だ」と感じました。」

この五剣山は忘れられないフォルムですよね。

《新見住職》

「そうです。

この姿だけは何遍見ても、その最初に見たときのことを

思い出します。」

 

《新見住職》

「お大師さんが若い頃にここで修行された。

それから、しばらく間があってお大師さんが中国に行かれる前に

自分の行(ぎょう)がうまくいくかどうか、中国に渡ることが

うまくいくかどうかということで占った。

その占いというのが8つの焼いた栗。これを埋めてみる。

もしこれが芽が出るようなことがあれば

「自分の中国に渡って勉強することが成功するであろう」

そういう占いで“八つの焼き栗” を埋めて中国に渡ったところ

向こうで色々な勉強をされて帰ってきたときに

全ての焼き栗が芽を出していたということです。

そういうところから、

今の「八栗寺」という名前になったと言われています。

山門があるのが正面玄関。

正面玄関から入ってきて、正面に五剣山が見えると・・・いうことです」

本当に正面に五剣山ですね。

 

《新見住職》

「そうです。

そしてお堂がある、そして「聖天さん」聖天堂がある。

 

ちょっと離れたところに大師堂があり、多宝塔があるのです。」

本堂の脇から階段が続いていますね。

《新見住職》

「階段上がってきますと

だいたい百段くらいあるのですけれども

上に山の神様で、中将坊(ちゅうじょうぼう)さんという

天狗様を祀っています。」

天狗様・・・

《新見住職》

「この天狗様がとってもご利益の大きい神様で

何かご利益があって下駄を奉納します。

下駄を奉納したらその下駄が翌日行ってみると

泥でけがれている・・・

(天狗様が)その下駄を履いて里の方に下りられて

みんなのためにされて、帰って来られたのだと・・・・

そういうことが言われるくらいご利益のある神様である

ということです。」

本当に天狗様が住んでいるお山という感じがします。

《新見住職》

「はい。」

 

境内は標高どのくらいですか?

《新見住職》

「だいたい300メートルくらいです。」

 

坂道を歩いてきたらどのくらいかかるのですか?

《新見住職》

「25分から30分くらいだと思います。」

お遍路さんは今、ケーブルカーを使ってこられる方が

多いと思いますが。

《新見住職》

「多いです。お寺とケーブルとの関係は車の両輪のようなもの。

運命共同体のようだと考えております。」

なくてはならないですよね

《新見住職》

「はい。たちまち私たちがちょっと出るときに

ケーブルさんを使わせていただきますし、

職員もケーブルさんを使って朝来て、帰っていくのです。」

 

次回は八栗寺の境内を巡ります。

番組は、radikoでも お聴きいただけます

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