STORY 八十八

毎週日曜日9:00~9:15

それぞれの人や文化が持つ多様性。
未来のために今、それぞれの想いを受け入れるやさしさが、求められています。
古来よりうれしさや悲しみ、時にはその人の人生そのものを受け入れてきた四国お遍路には、
過去・現在、そして未来に続いているやさしさがあります。
これは、そのやさしさを探しに行く八十八という名の物語。

STORY 八十八

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毎週日曜日 9:00~9:15
提供 株式会社アイム

2022年09月11日放送分

四国遍路に想いを寄せるチェ・サンヒさんの物語

海外からも注目される巡礼の旅、四国お遍路。

7回もこのお四国を回ったという

韓国の旅行作家 チェ・サンヒさん

「アニョハセヨ チョヌン チェ・サンヒ・・・

チャルゲッスムニダ(韓国語) 」

こんにちは 私は韓国人のチェサンヒ と申します。

よろしくお願いします。」

今回は四国遍路に想いを寄せるチェ・サンヒさんの物語です。

 

チェ・サンヒさんが今日のゲストです。

本を出されています。

『韓国女子 涙と絆の四国八十八ヶ所参り』

この本を出されたのはチェさん、いつですか?

《チェさん》

「2018年」

 

お遍路を旅行記として

書いてみようということになったのですか?

《チェさん》

「いいえ、お父さんが亡くなって

何年間か落ち込んでいたのですけれども、

大阪に住んでいた友達が

「四国にこんな道があるのだよ」

と教えてくれ、それで四国遍路を回ることにしたのです。

初めはスペインの巡礼の道を行こうとしたのです。

でもその時は、ヨーロッパには行ったことがなかったので、

「やはり治安が良い日本の方が良いのでは?」

と思って四国遍路を回ることにしたのです。」

 

日本にはそれまで来たことはあったのですか?

 

《チェさん》

「はい。何回か行ったことはあったのですが、

日本語はあまりできなかったのです。」

今、こうしてきれいな日本語を話されていますけれども

その時はそんなに上手ではなかった?

《チェさん》

「はい。片言だけ

「こんにちは」「すみません」

そんな簡単な言葉しかできなかったのです。

だから初めて四国遍路を回った時、

例えば宿を電話で予約しなければならないのですが

四国の宿では、英語もうまく通じなかったところもあったので

すごく困りました。」

 

お父様の供養ということで、四国霊場八十八ヶ所を

回ろうと思ったチェさんですが

それはいつのことでしたか?

 

《チェさん》

「2009年です。」

 

四国に来たのもその時初めてでしたか?

《チェさん》

「はい。そんなに長い旅もしたことは

なかったですし、

自分が本当にできるのか、できないのか

すごく不安もありましたし

お遍路を回る時にも韓国人には

一人もあったことがなかったのです。

その当時、韓国では四国のことは

あまり知られていなかったので、

色々と心配なことがあったのです。

でも実際にお遍路に行ったときに

いろいろな経験ができて嬉しかったのです。」

「日本の小学生や学生さんも

「知らない人に声を掛けたらだめだ」と

教えられているのに

四国では小さな子どもや学生さんが

「お遍路さん、頑張ってください」

と言ってくれることにすごく感動しました。

また、私が白衣を着ているだけで

女性だとはいえ

知らない家にノックして

「ちょっとおトイレを貸してください」と

言ってもあり得ない時代です。

それが「どうぞ」と言って

見ず知らずの通りすがりの人を

自分の家に上げてくれることに

すごく感動したのです。

例えば日本の他の地域に行ったとしたら、

ただの外国人観光客なのですが

四国遍路を回る時には

男だとか女だとか関係なく

年も関係なく、国も関係なく、みんな

「お遍路さん」と呼ばれることにも

それにも感動しました。」

 

「お遍路を回っているときには

カバンがすごく重かったので、

一日歩いたら次の日はすごく困りました。

その時に年上の男性のお遍路さんが

一日私の代わりにかばんを持ってくれ

私には、その男性お遍路さんの軽いカバンを持たせてくれたのです。

韓国ではありえないのです。

年上の人に、こんなことをしたら

本当に怒られるのです。

私のカバンは20キロで、その方のカバンは

8キロしかなかったのです。」

《チェさん》

お接待は韓国の「恩送り」

「恩返し」と「恩送り」は違うと思います。

例えば何かを貰ったら、その人に返すのが普通ですが

そうではなく

「恩送り」は貰った人にあげるのではなく

貰った恩を、次の他の人に差し上げるようなもの。

四国を回った韓国の人も

お遍路を回る間に、人々に頂いた色々なものを

韓国に帰って周りで困っている人に

「恩送り」するのです。

自分が元気にお遍路を

終えることができましただけではなく、

みんなのお蔭があったから、

そのお蔭を他の人に渡さなければと思う心になる旅なのです。」

 

「恩送り」ですね。

四国遍路を回り終わった時の

チェさんの心境の変化・気持ちの変化

それを教えてもらえないですか?

《チェさん》

「四国を回る前には当たり前だったことが

回る間にだんだん感謝の気持ちになったのです。

例えば、元気に歩けることも感謝しなければならないことだし

家にいるときには当たり前に思っていたことが

四国を回っているときには、

どんなことにも、感謝の気持ちを持つようになりました。」

チェさんはこの四国遍路を経験して

本にしたり、四国遍路を知ってもらうために

実際どんなことをされているのか聞かせてください。

《チェさん》

「今は韓国のネット上でグループを作って

四国に行くつもりの人や行ったことのある人が

集まってコミュニケーションできる場所を作りました。」

 

何人くらいの人がそこに参加されていますか?

《チェさん》

「2800人くらいです。」

 

2800人!

《チェさん》

「そのグループでは

徳島にある四国別格二十霊場二番札所の本堂が火事で全焼した時にも

寄付金を集めて寄付したこともあります。

四国はスペインの巡礼の道より

宿代がすごくかかるので

それを経験した香川大学大学院の女性が

外国人のために無料で止まれる場所を作ったのです。

そのときクラウドファンディングを募っていて

「外国人のためにこんな活動をする人を応援しましょう」

と私がグループの人に声を掛けると

またお金が集まって寄付したこともあります。」

そこに参加している人たちもコロナ禍が落ち着いたら

四国遍路に行ってみたい人は多いですか?

《チェさん》

「そうですね。

みんな「お四国病」のようになっています。

私の本を読んでいく人も多いのです。」

 

本は

『韓国女子 涙と絆の四国八十八ヶ所参り』

として同じタイトルで韓国でも発売されているのですね?

《チェさん》

「内容は同じなのですけれど

タイトルは『四国を歩く女』です。」

《チェさん》

「日本版はエピソードと内容だけなのですけれど、

韓国版の方は泊まる場所とか

行く方法とかガイドブックも後ろに載せているので

四国に行く人はだいたい私の本を買わなければならないのです。」

 

なるほど・・・

韓国では、この本はチェさんの7回も回った先輩の生きた情報が

入っているガイド付きなのですね。

《チェさん》

「先達を目指したこともないし

それが外国人もできることも知らなかったのです。

四国遍路の色々な活動をしているうちに

出逢ったお遍路さんから

「こんなに日本と韓国の中で活動しているのだから

ちゃんと先達になって、もっと深く交流したらどうですか」

と言ってくださったので

それで先達になりました

私が外国人の中で初めて先達になったのですけれど、

それを見たいろいろな外国人の人が

「外国人もできるのだ」

と思ってそれを目指して回る人も増えています。

 

次回もチェ・サンヒさんに

四国お遍路への想いを伺います。

番組は、radikoでも お聴きいただけます

YouTube配信もスタートしています。

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