FM香川 CMコピー大賞2021

I LOVE RADIO 786

特別審査委員

中村由美 株式会社エフエム東京 コンテンツビジネス本部 営業局 営業推進部CMルーム
TOKYO FM社員として、2002年~2010年までCM制作ルームに配属、また2018年より再び配属。
CMの企画プランニングからディレクションまでCM制作全般を担当。
CMプロデューサー/プランナー/ディレクター。

総評

今回もたくさんのご応募ありがとうございました!

グランプリのグローバルセンターの「年に一度」篇は、訴求ポイントの「芯」を的確にとらえて、みごとにクリエイティブに昇華させた作品。「織姫と彦星」を登場させたアイディアが秀逸で、さらに織姫の乙女心が伝わるセリフや、「天の川」を想像させる構成で、アイディアに磨きをかけることも忘れない。この”粘り”こそが勝因だと思います。

準グランプリのクリエアナブキ「赤ちゃんの仕事」は、泣いている赤ちゃんが喋りだすというハッとする展開で、既成概念を打ち破る意欲作。「CMは時代を映す鏡」と言いますが、時代と向き合って言葉を紡ぎだそうする”志”を感じました。協賛社賞の各作品にも、自由な発想が溢れていました。

コピーライターにとってラジオCMは、最高の「腕試しの場」です。新聞やWEBの「目で読む」コピーとは違って、文字を書いたら終わりではありません。文字に命を吹き込んで「音」にすること、その「音」をリスナーの心に響かせることがゴールです。舞台や映画の脚本に近いかもしれません。

どんなシチュエーションなのか、登場人物はどんなキャラクターなのか。無個性になりがちなナレーションも、キャスティング次第で伝わり方が劇的に変わります。ぜひ「音の監督」になったつもりで、文字のその先まで、イマジネーションを膨らませてみて下さい。

目指すは、音にした時に真価を発揮するコピー!そのために大切なのは、コピーを「音読」すること。録音して客観的に聴いてみると、目で読むのと、印象が違うはずです。「このセリフ、余計だな」「もっと”間”が必要」など、検証を重ねることで、コピーがどんどん磨かれて、演出プランも固まってきます。

来年も、皆さんの渾身の一打をお待ちしています。審査員一同、全力でキャッチします!

グランプリ

株式会社グローバルセンター

「年に一度」篇大友 哲朗(愛知県)作品を聞く
彦星: ねえ織姫?一緒に住む部屋、「内見」行こうよ!
織姫: いいね、でも、彦星、年に1回しか会えないのに、内見に時間使いたくない。
彦星: でも、1回は見といた方が。
織姫: 天の川であなたとゆっくりしたいの。
NA: 時間が限られているあなたに。
バーチャル内見ならグローバルセンターのCLASO.
SE: キラキラン(流れ星っぽい音) 
織姫: あっ!この部屋ベランダから天の川見えるよ。
彦星: いいね。
【 寸評 】
アイディア・コピー・構成、いずれも、よく練られた作品です。「織姫と彦星」というアイディアも秀逸ですが、作品に生命力を与えているのはセリフ。ちょっと彦星に甘えているような織姫のセリフに、審査員の1人が「私、こんな風に読みたい!」と言いました。良いコピーには「読んでみたい」「音にしたい」と思わせる力があります。

準グランプリ賞

株式会社クリエアナブキ

「赤ちゃんの仕事」篇谷口 将大朗(埼玉県)作品を聞く
赤ちゃん: オギャーオギャー
お母さん: すみません。どうしても泣き止まなくて・・
老齢女性: あ〜ら、いいのよ。赤ちゃんはみんな泣くのが仕事ですもの。
赤ちゃん: いや、そうとも限りません。
個人の価値観によって最適な仕事は人それぞれですから。
老齢女性: えっ?!赤ちゃんがしゃべった!
赤ちゃん: オギャーオギャー
NA: みつけよう。あなたにあった働き方。
総合人材サービスのクリエアナブキ。
【 寸評 】
作品意図に「クリエアナブキの”ひとに翼を”というスローガンに感銘を受けた」と書かれていました。「感銘」はクリエイティブの原点。自分の「感銘」を掘り下げて、他人と共有できる「表現」を見つけようとする熱量が伝わってきました。クリエイターにとって、無くてはならない姿勢だと思います。音の演出次第で、飛躍できる作品です。

協賛社賞

柿茶本舗有限会社

「上司にプレゼント」篇柴田 賢一(茨城県)作品を聞く
女1 課長。プレゼントした柿茶アイス、どうでした?
女2: うーん、そうね。
柿茶の甘さがほんのりで、しつこ過ぎなくて美味しかったわ。
・・でも、どうして私に?
女1 ・・そういう上司になってほしくて・・
NA: やさしい柿茶や、柿茶を使ったスイーツがいっぱい、アンテナショップカフェ「かきのは」。
【 寸評 】
甘さがしつこすぎない、柿茶のアイスクリームの魅力を、“理想の上司”と重ね合わせて表現した作品。斬新な設定で、リスナーを軽く裏切りつつ、最後は「あるある」という共感を誘う、2度おいしいところが魅力です。この2人、実は仲がいいんだろうな、と思わせる、茶目っ気あるセリフも絶妙です。

株式会社空間工房

「家を売る悩みをカッ飛ばせ!」篇吉川 文義(東京都)作品を聞く
アナウンサー: さぁ、次のバッターは実家を相続した大谷選手、ここはどうする?!
SE: カキーン!! 【球をヒットする音】
アナウンサー: 打った〜(売った~)!
解説者: これは高い、高いぞ!!
SE: 攻撃側のファンの歓声
アナウンサー: 高く買い取ったーー!!
SE: 守備側のファンの大歓声
解説者: さすが空間工房、おウチを高く売るなら、
アナウンサー:
&解説者 
空間工房ですねー。
【 寸評 】
どの不動産会社にもあてはまるCMではなく、空間工房ならではのCMを目指した、という点で、CMの基本をしっかり押さえた作品です。「高く買い取る」という空間工房のベネフィットを、打球が高く上がっていく様子と重ねあわせて描くことで、聴く人に「高揚感」を感じさせてくれます。

さぬき鳥本舗

「楽しく歌おう」篇石関 恵子(神奈川県)作品を聞く
(リズムよく歌いつなぐ)
男の子: ここはパリ?♪
女の子: いいえ、香川よ♪
男の子: 皮はパリッ♪
女の子: 中はじゅわ~♪
男&女: (ハモる)さぬき鳥本舗~♪
男の子: ここはパリ?♪
女の子: いいえ、香川よ♪
男の子: 皮はパリッ♪
NA: 赤が目印 さぬき鳥本舗
【 寸評 】
お題は、「さぬき骨付き鶏」のCMソングの作詞。歌の歌詞を作るコツは、理屈よりも、楽しさ。「ここはパリ?」「いいえ香川よ」「皮はパリッ!」。リズムが良くて、覚えやすくて、歌いたくなる。全ての要素を備えたフレーズは、「さぬき骨付き鶏」の財産になる名コピーだと思います。審査員みんなを笑顔にしてくれました。

しん治歯科医院

「レンジャー」篇塩脇 生成(東京都)作品を聞く
SE: 爆発音
怪人: クハハハ、逃げまどえ、人間ども!
男性: まてー!!
怪人: 誰だ!?
男性A: 白レンジャー
男性B: 白レンジャー
女性A: 白レンジャー
男性C: 白レンジャー
怪人: おいおい、普通、赤とか青とか
男性A: くらえ!
SE: 爆発音
怪人: うおお・・・強すぎ・・・
NA: 白くて強い!歯を強化するホワイトニングなら しん治歯科。
【 寸評 】
毎回、ユニークな作品が集まる「しん治歯科」。今回も、想像力を刺激する作品が選ばれました。しん治歯科のホワイトニングは、歯を白くするだけじゃない。歯を強くする。そんなメッセージを、戦隊レンジャーに例えて、上手に伝えています。白レンジャーの必殺技・キラキラビームは、いったいどんな音?演出しがいのある作品です。

新鮮市場きむら

「九九」篇阿部 伸也(埼玉県)作品を聞く
SE: 教室
生徒A: ニシチジュウシ ニハチジューロク ニク きむら。
先生: おいおい、ニクは18だぞ。
生徒A: でもママは、ニクはキムラって言うよ。
生徒B: うちのママもいう。
生徒C: うちもー。
先生: きむらって魚じゃないのか・・・?
NA: 魚だけじゃない。こだわりの精肉。
一同: 新鮮市場きむら。
【 寸評 】
「きむらはお魚、のイメージをガラっと変えたい」というニーズに、みごとに応えた作品。「ニハチジューロク、ニクキムラ」。たかがダジャレ。されどダジャレ。理屈ぬきに楽しくて、思わず言ってみたくなる。「新鮮市場きむら」のコピーを超えて、みんなに語り継がれるコピーになるかもしれません。

株式会社ドリームフルーツ

「野球」篇澤田 悠太(東京都)作品を聞く
審判: アウトー
実況: う~ん、「送りバント」失敗です!
解説: 「送りバント」失敗!残念ですね~。
実況: おっと!マネージャーが選手になにかを手渡していますよ。
解説: おぉ! あれは「贈りバナナ」ですね。選手が元気になりましたよ。
実況: これは「贈りバナナ」成功のようです!
NA: 元気になる贈り物 さぬきドリームバナナ。
【 寸評 】
「さぬきドリームバナナ」には優秀な作品が多く、審査員の間で、最後まで議論となりました。接戦を制したのは「贈りバナナ」。”バナナを贈る”という新しいスタイルを、一言で表現したネーミングセンスに評価が集まりました。香川県では「贈りバナナしちゃう?」が流行語になるかもしれません。

株式会社passive design house MiRaie

「綺麗な夕日」篇小林 弘典(東京都)作品を聞く
女性: ねぇ、窓の外見て? 夕日が綺麗ね〜。
男性: 何か叫びたくなるな 『夕日のバカヤロー』
女性: こら 太陽の悪口言わないで、いつもお世話になってるんだから!
NA: 太陽光や熱、風などの自然エネルギーを上手に取り入れたパッシブデザインの家 ミライエ。
男女: 『夕日、ありがとう』
【 寸評 】
窓辺に立つ男女。その向こうに広がる真っ赤な夕日。鮮やかに情景が浮かぶ作品です。「太陽のバカヤロー」という耳を引くセリフで引きつけておいて、「太陽にお世話になっている」という新しい視点をさりげなく提示する。シンプルで、まっすぐな柱がある、お手本のようなコピーだと思います。

濱川学院

「武蔵と小次郎」篇脇川 一也(愛知県)作品を聞く
武 蔵: 待たせたな小次郎!
小次郎: 遅いぞ、武蔵!
武 蔵: 巌流島ではなく、どうしてここに?
小次郎: ここで2人が出会えば、新しい何かが生まれると思うんだ!
NA: 果し合いより話し合い 刀を置いて議論を始めよう!
SE: ♪明るいBGM♪
NA: ここからアイデアの連鎖が始まる
コワーキングスペース BRIC。
【 寸評 】
「BRIC」には多彩な機能がありますが、あれこれ情報を詰め込まず、武蔵と小次郎の決闘というワンシチュエーションに絞ったところが高評価でした。たとえ敵同士でも、話し合うことで、新しい何かが生まれる。「剣をおいて、議論しよう」「果し合い、より、話し合い」というコピーが、BRICの本質をみごとに言いあてています。

マルシンプリン

「手土産」篇山本 芳生(宮崎県)作品を聞く
娘: パパ、1度彼と会って!
父: イヤだ。
娘: 誠実な人よ! 手土産にプリンまで持って来てくれたのよ!
父: うん?名前は?
娘: 吉田君。
父: いや、プリンの名前だ。
娘: マルシンプリン!
父: ん?お招きしなさい。
NA: 大切な人と一緒に。 バニラプリンのマルシンプリン。
父: 濃厚でプリンプリ~ン!
【 寸評 】
バニラプリンの美味しさは、頑固な父親の心をも、とろけさせてしまう・・・。娘のフィアンセに会いたくない父親はよくある設定ですが、そこに個性を吹き込んでいるのが、父娘の会話の妙。「名前は?」「いや、プリンの名だ」はおみごとです。ラストの「濃厚でプリンプリ~ン!」はCMの肝。厳格な父がどう豹変するのか、楽しみです!

株式会社まんでがん

「非常事態」篇脇川 一也(愛知県)作品を聞く
(緊迫した雰囲気)
CA: お客様の中に、食物繊維を持っている方はいらっしゃいませんか?
男: ああ私、讃岐もち麦ダイシモチを持っています!
CA: 食物繊維がたっぷり必要なんですが・・
男: 大丈夫です!白米の約30倍ありますから!
NA: 毎日の食事に食物繊維をプラス!
讃岐もち麦ダイシモチ!善通寺市のまんでがん。
【 寸評 】
誰も考えつかない、飛びぬけた発想に脱帽!「食物繊維を持ってる方はいらっしゃいませんか?」という突飛なセリフで、「え?」と耳を引き付けられ、「私、ダイシモチ持ってます」で、「持ってるんかい」と突っ込みを入れたくなります。そこへすかさず「白米の30倍」とたたみかけてくる。ぐいぐい引き込む求心力が素晴らしいと思います。

三木鋼業株式会社

「金属くずみたいな男」篇吉岡 京治(福岡県)作品を聞く
女: 別れましょう。
男: ちょっと待って! 僕があげた農機具は?
女: 三木鋼業でリサイクルしてもらう。
男: 置きっぱなしの古い車は?
女: 三木鋼業で。
男: 僕もリサイクルで、もっかい付き合えないかな?
女: 金属くずみたいなこと言うんじゃないよ!
男: くーーーーー!
NA: 金属くずも立派な資源です。リサイクルで未来を創る、三木鋼業。
【 寸評 】
全応募作品の中で、最もインパクトがありました。「僕があげた農機具はどうするんだい?」という、人生で一度も聞いたことがないセリフに耳を奪われました。ただCMとして成立させるには、ラストに大逆転が必要。みんながクズと思っているものを資源に変えてしまう、それが三木鋼業。固定概念を吹き飛ばして、未来を変えていく。そんな三木鋼業の「志」を生き生きと伝えるCMになると思います。

四電エナジーサービス株式会社

「プレゼン」篇赤嶺 輝彦(大分県)作品を聞く
男の子: ねぇねぇ、ウチも四電エナジーサービスでオール電化にしたやん?
リースで初期費用も故障修理も無料やん?
24時間対応で安心やん!光熱費も浮くやん?
お母さん: だから?
男の子: お小遣いの値上げを要求します!!
NA: 言いたいことはまだまだある!
四電エナジーサービスのオール電化リース!
(和太鼓の音:どどんっ!)
お母さん: 認めます!
【 寸評 】
「お小遣い値上げ」を切々と訴える子どもの声で耳を引きつけながら、四電エナジーサービスのベネフィットを上手に伝えるCM。たしかに、子供は、大人が想像もつかない論理で、説得してきたりしますよね。ぐうの音も出ないお母さんの「認めます」を、どんなふうに言わせるか、色んな演出が楽しめそうな作品です。

良品住宅再生LAB.

「御祝い」篇板東 英樹(広島県)作品を聞く
上司: 田中、新築祝いありがとう。
部下: 課長、ご新居完成おめでとうございます!
上司: でもうち、中古なんだよ。
部下: す、すみません!! てっきり新築かと…。
上司: ま、新築ぐらい満足してるけどな!
NA: 新築をあきらめてよかった〜と思える
中古住宅リノベーションは、良品住宅再生LAB.
【 寸評 】
とてもシンプルに、とても素直に、中古リノベーションのベネフィットを伝えるCM。当事者のリアルな想いがベースになっているからこそ、余計な装飾はいりません。不純物の無いピュアウオーターのように、聴く人の心に、すーっと沁み込みそうです。「新築をあきらめて良かったと思える」というコピーも秀逸です!

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