FM香川 CMコピー大賞2024

I LOVE RADIO 786

総評

今年もたくさんの方にご応募いただき、ありがとうございました!

ラジオCMには様々な秒数がありますが、「20秒」が最も難しいと言われています。たった100文字程度で伝えられることには限界があり、どうしても何かが欠けてしまいがちです。

その点、グランプリに輝いたUMAYADO「馬宿に立たされる」篇は、バランス良くまとまった作品でした。若者のお酒離れが進む中、「RUM STAND UMAYADO」を、どう魅力的に表現するか。作者が選んだのは、仕事でミスした部下を、女性上司が「立って反省しなきゃ」と言って「スタンディングバー」に誘う、というシチュエーションでした。

「立って反省」と言われて、多くのリスナーは、子どもの頃、先生に怒られた時の絶望感や、許してもらえた時の安堵感を思い出すことでしょう。そんなエモーショナルな記憶と「RUM STAND UMAYADO」を結びつけることで、ただのスタンディングバーではなく、心豊かな時間を過ごせる特別な場所、というイメージ醸成に成功しています。

準グランプリは、三木鋼業の「修行」篇。CMのミッションは、動かなくなった車も買い取ってくれる「カーツ四国」のネーミング訴求です。「カーツ四国」と、座禅の時、警策で叩かれる 「カーツ」という声をひっかけて、シンプルに音の面白さで耳を引きつける作品。「動かなくなった車にも、価値があることがわからんのか!」というセリフは、 使い捨てに慣れた現代人への「カーツ!」なのかもしれません。


★魅力的なラジオCMを作るための3ステップ★

①とことんリサーチ&観察
ヒット作を連発するCMクリエイターは、徹底的なリサーチと観察を怠りません。 自分の知識やアイディアなんてタカが知れている。だからこそインプットが大切。ぜひ皆さんも、与えられた資料を読むだけにとどまらず、いろんな角度から商品を見つめてみて下さい。 その商品にしか無い魅力は?その商品を使うのはどんな人?同業他社の動向は?紙いっぱいに書きだしてみましょう。必ず、伝えるべきメッセージが見えてきます!

②勇気をもって、はみ出す!
メッセージを効果的に伝えるには、どんな設定や演出が良いのか?CMを作る上で、一番頭を悩ますポイントです。簡単には思いつきませんが、ここで粘れるかどうかが勝負の分かれ目。 てっとり早く「型」から入ってしまいそうになるのをグっとこらえましょう。「昔話や歴史上の出来事のパロディ」「ダジャレ」などの王道フォーマットは、 もちろん魅力的ですが、せっかくのあなたの発想力がストップしてしまいます。ぜひ自分の感性を信じて、オンリーワンのCMを目指して下さい!

③コピーを磨く!
ラジオCMの場合、必ず実践して頂きたいのが、コピーを「音読」すること。あなたの声でスマホに吹き込んで、客観的に聴いてみてください。 20秒に入っているか、喋り手はどんな人がいいかを検証できるのはもちろん、「このセリフは余計だな」「もっと”間”が必要」など、たくさんの気づきがあるはず。 検証を重ねるうちに、コピーがどんどん磨かれて、クオリティが劇的にアップします。ぜひ試してみてください!

来年も、皆様のチャレンジを、審査員一同、心よりお待ちしています。

グランプリ

株式会社UMAYADO

「馬宿に立たされる」篇ソフィーと双子の姉妹(東京都)作品を聞く
SE: 会社ノイズとカタカタとキーボードの音
【男性社員】 先輩、すみません。僕のせいでみんなが残業になっちゃって……
【女性上司】 落ちこんでるわね~。
【男性社員】 あの資料を作るのに、みんなでがんばったのに……
【女性上司】 (さえぎるように)じゃ、立って反省しなきゃね。
いいスタンディングバーがあるの。
終わったら皆で行きましょ!
SE: カラン……(ラム酒の氷)
NA: 和三盆ラム酒が楽しめる「RUM STAND UMAYADO」。高松オルネ1階。
【男性社員】 立たされるのも悪くない……。
【 寸評 】
子どもが「立って反省」するのは廊下ですが、大人が「立って反省」するのは「RUM STAND UMAYADO」。仕事でミスをしても、仲間とグラスを傾ければ、いつしか、失敗も笑い話に変わります。責任が増える大人にこそ、そんな場所が必要だということが、素直に伝わってくる作品です。

準グランプリ賞

三木鋼業株式会社

「修行」篇田中 豊(三重県)作品を聞く
SE: ゴーン……(お寺の鐘の音)
【男1】 かぁーつ!
SE: パシーン、警策で打つ音
【男2】 いたっ!……いま僕、動いてないですよね。
【男1】 うむ、動かなかった。
【男2】 えっ?動かなかったのになんで叩かれるんですか?
【男1】 動かなくなった車にも、価値があるとわからんのか!
【男1】 かぁーつ!
SE: パシーン、警策で打つ音
【男2】 あいたっ!
【男1】 動かなくなった車も買い取ります。カーツ!四国。
【 寸評 】
CMのミッションは、動かなくなった車も買い取る「カーツ四国」のネーミング訴求。座禅の時、警策で叩かれる「カーツ」という声とひっかけて、シンプルに音の面白さで遊んだ作品です。動かなくなった車も、貴重な資源に変えてしまう「カーツ四国」は、使い捨てに慣れた現代人に「カーツ!」を入れてくれる存在なのです。

協賛社賞

有限会社生島興業

「三世代」篇脇川 一也(愛知県)作品を聞く
【息子】 僕、大きくなったらトラックのドライバーになる!
【父親】 どうして?
【息子】 だって、パパ、かっこいいもん!
【父親】 ハハ(笑)
【息子】 何がおかしいの?
【父親】 パパも小さい時、同じ事をおじいちゃんに言ったんだよ。
おじいちゃんもドライバーでかっこよかったんだ!
【子供】 え~、そうなんだ?
SE: SE(走り抜けるトラック)
NA: 物流の主役はかっこいい!未来へ走り続ける 生島興業
【 寸評 】
子供は親をよく見ています。やりがいのある仕事をしている姿は、きっとキラキラ輝いて見えるはず。そんな憧れの気持ちが、親から子供へ、またその子供へとつながっていく様子を、微笑ましい会話で描いたCMです。トラックドライバーが運転中にこのラジオCMを聴いたら、きっと笑顔になってくれることでしょう。

香川県危機管理総局くらし安全安心課

「授業」篇土屋 憲佑(山梨県)作品を聞く
SE: ザワザワ・・・(騒がしい教室、チョークで黒板に書く音)
【先生】 いいか~?
「横断歩道は歩行者絶対優先!」
「安全速度を必ず守る!」
「シートベルトは全席着用!」
ここ、テストに出ないけど……イノチに「差」が出るぞ!
【生徒たち】 え~?
女NA: 交通ルールは、命のマナー。みんなで守ろう!香川県
【 寸評 】
横断歩道、安全速度、シートベルトの3つの交通ルールを言うだけで7秒ぐらいかかるので、残り13秒が勝負。この難しいお題を、「授業」という設定を使って、うまくクリアした作品です。話をろくに聞いていない生徒たちに、先生が言い放つ一言が秀逸。「テストには出ないが、命に差が出るぞ!」。CMを聴いたリスナーもドキッ!とすることでしょう。

柿の葉茶専門店 柿茶本舗

「飲み物に例えるとしたら?」篇水田 秀俊(東京都)作品を聞く
【老人女】 私って、飲み物で例えるとしたら何?
【老人男】 有機柿茶かな。
【老人女】 それ、褒めてる?
【老人男】 そりゃあ天然無垢で安心できるし、
ほんのり優しくて、一生飲んでいたいって事だよ。
言わせんな。
女NA: 一生をともにしたいお茶、柿茶本舗の有機柿茶。
効果音: ズズズ…(お茶を注ぐ~お茶をすする音)
【老人女】 大好き!
【 寸評 】
柿茶を飲みながら面白い会話が展開する、という作品が多く集まりましたが、中でも「私って飲み物に例えるとしたら何?」という斬新な問いかけが、審査員を惹きつけました。原稿には「男」「女」としか書かれていませんでしたが、年齢や人柄などを具体的に設定すると、より生き生きとした会話が書けるようになります。
※今回は、審査員が話し合い、「一生を共にしたいお茶」というメッセージにふさわしく、「長年連れ添った老夫婦」をキャスティングしています。

キャスコ株式会社

「先入観」篇野村 篤史(東京都)作品を聞く
【男】 またまた~。ゴルフグローブを変えるだけでそんなに変わるはず……
SE: スコーン(ゴルフの打球音)
【男】 変わるはず……
SE: スコーン(ゴルフの打球音)
【男】 変わるはず……
SE: スコーン(ゴルフの打球音)
【男】 変わる!
SE: スコーン(ゴルフの打球音)
女NA: こだわり抜いたのは素材と機能とフィット感。
やっぱりグローブはキャスコ!
SE: スコーン(ゴルフの打球音)
【男】 キャスコすげー!
【 寸評 】
ゴルフグローブのCMですから、ゴルファーに刺さらなければ意味がありません。そこでゴルフをする審査員の意見を聞いたところ、この作品が「イチオシ」でした。「グローブだけで変わるはずない」という先入観を、スカっと爽快な打球音で覆していく。シンプルながら説得力のあるCM。ゴルフをする審査員も「本当に手袋って大事なんですよ~」と熱く語りだすほど共感していました。

しん治歯科医院

「いーだ!」篇徳永 良太(鹿児島県)作品を聞く
SE: 保育園の賑やかな様子
【男の子】 いーだ!
【女の子】 いーだ!
【男の子】 いーだ!
【女の子】 いーだ!
【男の子】 いーーだ!!
【女の子】 いーーだ!!
【女先生】 ケンカはやめなさい!
【男の子】 ちがうよ。
【女の子】 トレーニングの成果を見せ合ってたの。
【2人】 ねーっ!
NA: 予防歯科はもちろん、
お子さまに合わせた「お口のトレーニング」も行っています。
輝くスマイル しん治歯科。
【 寸評 】
しん治歯科の今年のテーマは、お口のトレーニング。子供のかわいらしい声が耳を引く「いーだ!」篇が、まんべんなく審査員の評価を集めました。「いーだ!」「いーだ!」と言い合う子供たち。ケンカかと思いきや、お口のトレーニングの成果を見せあっていたのでした。小さなお子さんでも楽しくトレーニングできることがしっかりと伝わるCMです。

多度津自動車学校

「トラブル」篇栗橋 勇太(神奈川県)作品を聞く
SE: 大学の食堂の音
【学生1】 二週間後にドライブデートの約束したんだ。でも、問題が~。
【学生2】 免許持ってねぇじゃん、お前
【学生1】 いや、多度津自動車学校なら、
最短2週間でとれる完全スケジュール教習だから
そこは問題なし!昨日申し込んだ!
【学生2】 え?じゃあ問題って?
【学生1】 今日その彼女に振られた!
【学生2】 草www
【 寸評 】
多度津自動車学校の「完全スケジュール教習」のメリットを、デートの約束をした男性の目線から描いたCMです。最短14日で免許が取れるから、無事、ドライブデートに間に合う!ホッとしたのも束の間、肝心の彼女にフラれてしまうのでした・・・。よくあるオチではあるのですが、「草」の一言で終わるところが、審査員から高評価でした。

有限会社和住宅

「赤ちゃんと欄間」篇肥後 佑衣(神奈川県)作品を聞く
【まみ】 (赤ちゃんの笑い声)
【父】 まみ、笑ってるね。
【母】 欄間の鳥が気に入ったみたい。
【父】 あの欄間、親父のお気に入りだったからな
【母】 残してリフォームできて良かったよね、あの欄間……ねえ!
【まみ】 らんま~
【父・母】 あ、喋った!!!
NA: 思い出を継ぐ住まい。
リフォーム・リノベーションも和住宅。
【 寸評 】
和住宅のホームページに、こんな言葉があります。「古きを生かして、新しきを造る」。
その「古き」のシンボルとして、作者が選んだのが「欄間」でした。「たしかに香川には、欄間のある古い家が多い」という審査員の一言で、CMのリアリティがグっと高まりました。「欄間」のおかげで、障子を通した光や、部屋の匂いまでリスナーに想像させ、家族の歴史を大切にしてくれる和住宅のイメージ醸成に成功しています。

マリモハウス

「お前マトモか?!いや、マリモや!」篇上野 拓進(青森県)作品を聞く
【2人】 どうも!マリモハウスです!
【男A】 ハウスだけに、イエィ!
【男B】 ちょちょちょちょ、ふざけた会社だと思われるでしょ!
こっちはもう30年以上、香川の家づくりやってるんだから。
【男A】 お前、マトモだな……
【男B】 いや、マリモだよ!マリモハウスだよ。
ということで、名前だけでも覚えて帰ってください。
注文住宅はもちろん建売も
【2人】 マリモハウス!
【 寸評 】
漫才師の「名前だけでも覚えて下さいねー」というフレーズをフックに、「ハウスだけにイエーイ!」「マトモか?」「マリモや」などのダジャレをちりばめて、テンポ良く、キレイにまとめています。欲を言えば・・・「笑い」は予想を裏切られた時に起こるものなので、「枠」からはみ出すアプローチがあれば、さらにレベルアップが狙えると思います。

有限会社雄興業

「壁への挑戦」篇青田 光章(神奈川県)作品を聞く
NA: 壁にぶつかっているあなた。
その壁を、乗り越えないか?
みずからのチカラで、
未来を塗り替えてみないか。
ここに、左官職人、という仕事がある。
経験不問。
我々には、あなたを一から応援する準備がある。

左官職人募集。有限会社雄興業
【 寸評 】
潔くてシンプルなコピーが目を引きました。左官職人にひっかけて「壁にぶつかる」「未来を塗り替える」などのコピーは他にもありましたが、決め手となったのは「雄興業には、あなたを一から応援する準備がある」。一人前の職人になるまでしっかり支えるという、雄興業の覚悟が伝わってきます。人材募集で大切なのは、会社の志をしっかり伝えること。「顔」が見えるラジオCMの良いお手本です。

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